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心得17 痛みは怖くない。モルヒネを正しく使えば、安全に長生きできる ~モルヒネは正しく使えば、中毒にならない?~

今回は「モルヒネは正しく使えば、中毒にならない?」
というテーマです。







死の恐怖とともに「痛みの恐怖」はとても大きいものです。
逆に痛みをうまくコントロールできることがわかっていれば、
心穏やかに旅立てるかもしれません。

死の間際に相当痛む代表的な症状は、骨にガンの転移が出たとき。
転移したガンが増殖して、ガンの塊が大きくなると骨膜を内部
から押し広げます。
その時に、何らかの化学的な物質が出るのか、単に膜が引き
伸ばされる痛みなのか、ともかくひどく痛む。




しかし、痛みを取る方法が確立しているので怖がることはないのです。

第一の方法は鎮痛剤です。
まず非麻酔系の鎮痛剤を、口から飲みます。

痛みが取れない場合は、第二の方法として弱い麻酔系の鎮痛剤
使用します。

それでもダメな場合は、第三の方法としてモルヒネを内服か座薬
の形で使用します。



ここでしっかり覚えておいてほしいことは「モルヒネは正しく使えば、
中毒になったり、死期を早めたりする心配はない」
ということです。

中毒や依存症になる危険があるのは、1回ごとに注射する方式で
モルヒネを使ったときです。


注射だと血中濃度が急上昇したときに脳が反応して気持ちよくなる
という状態になり、依存することで止められなくなるわけです。

第一次・第二次世界大戦では負傷した兵士たちに大量にモルヒネ注射
が用いられたので、終戦後も長くモルヒネ依存症に苦しむ人が続出
しました。

そんなこともあり、中毒・依存のイメージからテレビドラマなどで
医師が「モルヒネ中毒になるかもしれない」「死期を早めるかもしれない」
などと語る場面が出てくることもあります。


その点、内服や座薬、また点滴の形ならモルヒネの血中濃度はジワジワ
と上がり、上限があるので、中毒の心配はありません。


但し、モルヒネは安全になったとはいえ、便秘や吐き気などの副作用
が出ることはあります。
その場合、副作用を軽くする薬を併用しなければならず、毎日数回
決まった時間に使用しなければならない煩わしさもあります。

また、代表的なモルヒネ、MSコンチン錠の30mg錠を1日に2錠飲んだ
として、1ヶ月で42000円(患者負担分も含めて病院に支払われる金額)、
1年間で510000円にもなります。
中には1日に数十錠も使う人もいるので、一生使い続けるということに
なると、社会的負担は非常に大きくなります。








<参考文献>
近藤誠(2012) 医者に殺されない47の心得 アスコム

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