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心得8 「早期発見」は、実はラッキーではない ~検診とガン死亡の意外な関係~

今回は「検診とガン死亡の意外な関係」というテーマです。






ガンの「早期発見・早期治療」に役立つという機器や検査方法が
次々に生まれることで、「ガンは治る病気になった」、「1年に
1回の検診でガンになる前の段階でキャッチできる」などと宣伝
されるようになりました。


では、本当に「ガンで亡くなる人は減っているのか?」という
疑問があります。

もし仮にガンが治る病気になったのなら、ガンによる死は年々
減ってきているはずです。

しかしながら、1960年代から50年もの間で人口に占める全ガン
死亡率は下がらず、依然としてガンは日本人の死因トップの座
にいます。





なぜこのような結果であるのか?

それは「検診が何の役にも立っていない」という理由からです。
検診により詳しく検査すればするほど、ガンが見つかる可能性
が高くなります。
しかし、そのほとんどは「ガンもどき」で、手術などの治療は
身体を痛めるだけなのです。


例えば、50歳を超えた男性の2人に1人は亡くなった後に解剖する
と「前立腺ガン」が見つかります。
それは放っておいても大きくならない「潜在ガン」であったのです。

ところが、検診で「前立腺ガン」を見つけ出しては自覚症状もない
人に、手術による切除や放射線による治療などをすすめています。

しかし、手術による後遺症や放射線治療による合併症発生などのおそれ
もあり、場合によっては人工肛門になってしまうこともあります。


また、わずかな病変が検出できる方法が見つかったら、
日本人の3人に1人は甲状腺ガンと診断されるでしょう。
しかし、甲状腺ガンで亡くなる方はガンによる総死亡者数
のわずか0.1%、人数でいうと年間約300人です。






<参考文献>
近藤誠(2012) 医者に殺されない47の心得 アスコム



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