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ブログ 医者が患者に教えない病気の真実: 2024年3月

誤診が多い、胃とみぞおちの痛み

今回は「誤診が多い、胃とみぞおちの痛み」というテーマです。

 

 

「みぞおちの痛み」には注意が必要です。

まずは、みぞおちにある内臓の位置関係を説明していきます。

 

みぞおちの皮膚の下には、まず肝臓があります。

その裏(背中側)には、胃と十二指腸があり、その奥に膵臓が位置しています。

また、肝臓に近い胆嚢と胆管の痛みは、みぞおちに放散(響く)します。

 

こうした特徴から、他の医療機関から転院してくる患者さんの中には、次のようなケースが見られることがあります。

 

①カメラで異常はないと言われたが、みぞおちの痛みが強く来院。

腹部エコーで、胃の裏の膵臓に進行性膵臓ガンが見つかった。

 

②処方された胃薬を飲んでいても、症状が改善せず来院。

腹部エコーで確認すると胆石が胆嚢にあり、胆嚢炎を起こしていた。

胆嚢炎の痛みはみぞおちに響くため、患者は「胃が痛い」と誤解し、医師もそれに気づかなかった。

 

③胃潰瘍ではないかと診断されたが、薬を飲んでもみぞおちの痛みが改善せず来院。

腹部エコーを行うと、肝臓に直径8センチの肝臓ガンが見つかった。

胃の前には肝臓が位置しており、肝臓の腫瘍によってみぞおちが痛むことがあるので注意が必要。

 

 

このように、みぞおちの痛みには危険な誤診が多いのです。

「みぞおち=胃」という思い込みを捨てることが肝要です。

なぜなら、みぞおちの痛みは100%胃の痛みとは限らないからです。

 

みぞおちの痛みは、「胃」の痛みとして本人には認識されます。

しかし、胃の周りにはいくつかの臓器が入り組んで重なり合っていることを忘れてはいけません。

胃カメラによる検査で異常がないのに改善しない人、胃薬を服用しても軽快しない人は、胃以外の病気を疑って、腹部エコー検査を希望してほしいのです。

さらに万全を尽くすなら、エコーよりも死角の少ない、CT(コンピューター断層撮影装置)MRI(磁気共鳴画像装置)検査で胃の周辺臓器の精密検査を受けることです。




<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

聴診器で診断できる身体の声

今回は「聴診器で診断できる身体の声」というテーマです。
 
 
聴診器はレントゲンのように被曝の心配もなく、非常に多くの身体の情報が得られます。
また、医療従事者だけでなく、誰にでも簡単に使うことができるところも便利です。
そんな聴診器で「身体の声」を聞いてみましょう。
 
聴診器を当ててチェックしたい部位は、①首②胸の上部(肺)③左胸(心臓)④腹部の4つです。
 
<こんな音が聴こえたら要注意>
①首の両側の血管に聴診器を当てます。
血管が細くなって詰まりかけているときには、「シュー、シュー」という音がします。
そんな音がしないか確認します。
首の血管(内頸動脈)が動脈硬化で詰まり、脳梗塞を起こす人が増えているのです。
 
聴診器によるチェックで狭窄が早期に発見できれば、血管内膜剥離術という手術で脳梗塞を防ぐことができます。
 
②両胸の乳首の少し上に聴診器を当てて、大きく呼吸をして、肺の音を聴いてみます。
例えば、喘息発作では息を吸ったときには「ヒューヒュー」という高い音、息を吐き終わるときには「ブーブー」という独特の低い音が聴こえます。
この時、普段から肺の音を聴いておけば、咳が出たときにただの風邪なのか、喘息発作なのかが大まかにわかるようになります。
 
また、心不全を起こしている人は肺水腫と言って、肺が水浸しの状態になっており、呼吸をした時に水が「ボコボコ」という音がします。
他にも、肺気腫になると肺が膨張するため、肺の音が遠くに感じるなど、聴こえづらくなります。
 
③心臓の音は左の乳首付近に聴診器を当てて聴き、リズムを覚えておきます。
鼓動のリズムが不規則な人の中には、心房細動の人がいます。
聴診器でチェックしたとき、鼓動のリズムが乱れると、心臓内で血液の流れが淀んで、血栓ができやすいのです。
それが脳に飛び、血管を詰まらせてしまうことで、脳梗塞になる危険性があります。
 
④腹部はヘソの辺りに聴診器を当てて、10秒以上聴きます。
普段から腸の音に親しんでいると、腸が詰まったり、捻れたりする腸閉塞のときに聞こえる金属性雑音(遠くでキン、キンと金属の管を叩いたような音)などの異変に気付くことができます。
何より、聴診器で身体の声を聴いていると、自分との対話ができて、心が落ち着くようになるでしょう。



<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

胃の不調には3つの原因がある

今回は「胃の不調には3つの原因がある」というテーマです。

 
 

胃の不調は、生活の質や仕事の能率、幸福感などを大きく落としてしまいます。
そうならないために、「胃力」を高めることで胃を健康にすることが大切です。

 

胃の不調の原因は次の3つです。

①胃酸力

②胃運動力

③抗ストレス力

 

ひとつずつ説明していきましょう。

①胃酸力

胃酸が出過ぎている人は、胃カメラで腫瘍もなく、ガンもないのにも関わらず、胃が痛いと感じるのです。

これを、胃の「知覚過敏」と呼びます。

 

例えば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍もなく、ガンもないのに胃が痛むことはよくある話なのです。

胃酸が出過ぎていると、潰瘍がないのに胃は痛むのです。

 

ですから、逆に胃カメラの結果が全てではない、ということが大切です。

もちろん、ガンがないか腫瘍がないか、胃カメラで調べることは極めて重要です。

しかし、胃カメラで何もないからと言って、何もしなくてもいいということではないのです。

症状が大切です。

痛みを感じる患者さんには、胃酸を抑える努力をしてもらうことで、痛みも楽になり、患者さんも救われるのです。

 

②胃運動力

胃の動きの鈍い人が感じる症状は、胃のもたれ、胃の重い感じ、吐き気などです。

これを胃の「運動不全」と呼びます。

 

胃カメラで異常がなくても、もたれ、何か重苦しい感じなどを感じたら、胃の動きを改善する工夫(脂肪を控え、運動して自律神経を整える)をすると、すっきりした気持ちで生活を送ることができます。

 

③抗ストレス力

胃酸を抑え、胃の動きを高め、それでも改善されないとき、考えなくてはならないのは、知らない間にかかってきているストレスや過労です。

 

ピロリ菌がある人にストレスがかかると、簡単に腫瘍ができてしまいます。

逆にピロリ菌がいなければ、少々のストレスがかかっても腫瘍はできないことがわかっていますので、その点では安心できます。

 

ストレスを感じる前に積極的にストレスを解消し、常に溜め込まないような工夫をしましょう。

ただ、過大なストレスで腫瘍になることも、ままありますので注意しなくてはなりません。




<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

胃の2種類の動きを使い分ける

今回は「胃の2種類の動きを使い分ける」というテーマです。
 
 
胃の動きには大きく分けて、「食後の運動」「空腹時の運動」があります。
 
<食後の運動>
胃に食べ物が入ると、胃の出口付近の「幽門前庭部」が1分間に3回、規則的に動いて食べ物を細かく砕き、2mm以下になったものを胃から排出する。
この運動は食後3〜4時間続く。
 
<空腹時の運動>
午前0時から朝方までの空腹時、胃の上部の「穹窿(きゅうりゅう)部」が強く収縮して、食べ物の残りカスや脱落した胃の細胞を、一気に胃の外に押し流して掃除をする。
 
 
私たちは日中に活動し、夜中に睡眠をとっていますが、胃はこの逆で夜中の空腹時の方が、食後よりずっと活発に動いているというわけです。
 
しかし、夜遅くに食事をすると食後の胃の運動が夜中にも続いてしまい、空腹時の運動になかなか移行できなくなります。
胃の掃除が十分にできていないと、胃もたれに繋がり、他の臓器に回るべき血流が胃に集中するため、身体全体に負担がかかってくるのです。

夜食事をするなら、遅くとも9時までには済ませて、胃の掃除力を味方につけたいところです。
 
夜中にずっと動いていた胃も、明け方になると動きが鈍ります。
そして、朝になると交感神経が緊張し、胃の動きを抑制します。
また、ストレスホルモンであるCRF(Corticohormone Releasing Factor)が脳の視床下部から分泌され、胃の蠕動運動(腸管の口側が収縮し、肛門側が弛緩して内容物を先へ押し出していく運動)を弱めてしまいます。
 
従って、朝には胃の働きをあまり必要とせず、できれば白湯のみが望ましいと言えます。
何か食べるのであれば、酵素が含まれる生野菜や果物などを摂ると良いでしょう。



<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

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