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副交感神経を高めると胃が喜ぶ

今回は「副交感神経を高めると胃が喜ぶ」というテーマです。
 
 
人間は緊張すると、「交感神経」が高まります。
そして、交感神経が高まると胃腸の動きは抑えられてしまいます。
 
逆にリラックスすると、「副交感神経」が高まります。
副交感神経が興奮すると、胃の動きは良くなります。
胃がよく動くようになると、胃もたれや胃痛も感じにくくなるのです。
 
では、副交感神経を高めるにはどうしたらいいのでしょうか?

例えば、食事の時にはリラックスできる音楽を聴いてみましょう。
また、回転の早い慌ただしい店での食事ではなく、ゆっくり食べられる場所で食べると良いです。
できなければ公園などで1人でお弁当でも大丈夫です。
その際、お弁当はなるべく脂肪を抑えた内容にしてください。
 
他にも、自律神経を整えるためにぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、1日数回は深呼吸をして空を眺めてみることで、概日リズム(約24時間周期で変動する生理現象)を整えましょう。


<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

ミントは胃の動きを鈍くさせる?

今回は「ミントは胃の動きを鈍くさせる?」というテーマです。

 

 

爽やかな口当たりで人気のあるミントですが、胃の動きが悪い人はミントの摂りすぎには注意が必要です。

 

なぜなら、実はミントには胃の動きを抑える作用があるからです。

 

胃内視鏡(胃カメラ)を行う際には、胃の粘膜を観察しやすくするために胃の収縮を抑える必要があります。

 

昔は、胃カメラを行うときには胃の動き(蠕動運動)を抑えるために注射をしていました。

これが筋肉注射のため、非常に痛くて患者さんには苦痛のタネでした。

胃カメラを受ける前には、患者さんは非常に緊張しています。

その上に腕に痛い注射をされると、苦痛も倍に感じられるのです。

 

現在は、ミントで作った薬液が開発されており、胃カメラを行うときに胃の中にこのミント液を撒くのです。

そうすると、このミントが胃の動きをあっという間に抑えて、観察が非常に楽になります。

 

ミントの働きも使い方次第なのです。

胃がもたれたり、張ったりする症状は胃の動きが悪いサインです。

胃の動きのリズムを正常にするためには、胃の動きを弱めるものは避ける必要があります。

そうした点で、ミントの摂りすぎには注意が必要なのです。




<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

機能性胃腸症の症状を軽くする方法 ~④ピロリ菌による影響~

今回は機能性胃腸症の症状を軽くする方法

「④ピロリ菌による影響」というテーマです。

 

 

ピロリ菌に感染していると、ほぼ間違いなく胃炎が起こります。

このピロリ菌を除菌すると、胃の症状が改善する人も多いので、感染が判明した人はまず除菌を試してみる価値があります。

 

ピロリ菌感染があると動脈硬化を起こしたり、ビタミンCが体内で十分に役割を発揮できなかったり、認知症の率が高まったりと、全身に悪影響を及ぼします。

 

そのため、早い年齢での除菌が望ましいところです。

胃ガンを抑えるには、40歳未満で除菌すると1番効果が出やすいということがわかっています。




<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

機能性胃腸症の症状を軽くする方法 ~③遅延型フードアレルギー 胃の不調はアレルギーの可能性がある~

今回は機能性胃腸症の症状を軽くする方法
「③遅延型フードアレルギー 胃の不調はアレルギーの可能性がある」というテーマです。
 
 
通常、アレルギーというと食べて数秒から数分で起こる「呼吸困難」「発疹」「ショック」などを指します。
これを即座型アレルギーと呼びます。
 
それに対し、「遅延型フードアレルギー」というものがあります。
これは、食べて数時間から24時間後に腹痛や下痢、頭痛や全身の怠さなどが生じるもので、遅れて症状が出るため、本人が食事との関連に気づかないといった落とし穴があります。
 
通常の即時型アレルギーはIgE抗体というものを介して起こるのですが、遅延型フードアレルギーはIgG抗体を介したアレルギー反応です。
少量の血液を採るだけで検査可能であり、これにより胃痛の原因がわかり、そのような食事の抗原を避けることで、驚くほど腹痛が減った患者さんは多いのです。
 
また、どんな食べ物を食べた後、何時間くらい経ってから調子が悪くなったか、メモしておくと食べ物のアレルギーの推測がつくことがあります。


<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

機能性胃腸症の症状を軽くする方法 ~②胃の知覚過敏~

今回は機能性胃腸症の症状を軽くする方法

「②胃の知覚過敏」というテーマです。

 

 

胃の調子がすぐれない人、特に胃の「痛み」として感じる人の特徴は、胃の感覚が敏感すぎる人です。

 

感覚閾値(刺激がある値以上に強くなければ反応は起こらない、その限界値のこと)が低下しているとも言います。

 

胃の中にバルーンという風船を入れて、膨らませながらfMRI(ファンクショナルMRI)を用いて、内臓の知覚過敏を脳の血流増加として調べた研究があります。

 

すると、わずかしか風船を膨らませていないにも関わらず、健康な胃の人と比べて、「脳の側頭葉の痛みを感じる部分」と「左右の脳の前下回という部分」がすぐに活性化されました。

胃の刺激に対して、「脳が感じやすい」状態になっていることがわかります。

 

これは胃の知覚過敏と脳が深い関係にあることを示しています。




<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

機能性胃腸症の症状を軽くする方法 ~①胃が緩めば、あなたの笑顔も緩む 胃は健康の鏡~

今回は機能性胃腸症の症状を軽くする方法

「①胃が緩めば、あなたの笑顔も緩む 胃は健康の鏡」というテーマです。

 

 

胃の調子が悪い人、そうでない人の大きな違いのひとつは、「胃運動能」です。

胃が動けば、胃の調子は良くなるのです。

 

胃の調子が悪い人は、胃の緩みが悪いということです。

胃の調子が良い人の胃は、食べ物が口から入ってくると、胃の天井部分(穹窿部と呼ぶ)が大きく膨らんで、食べ物を受け入れるスペースを作ります(適応性弛緩)

これによって、より多くの食べ物を受け入れられるようになるのです。

 

しかし、最近の研究で胃の調子が悪い人の胃の動きを胃電図で調べると、この胃の緩みが悪い人が多いのです。

胃の緩みが悪いと、胃の拡張が悪いため、多くの食べ物が受け入れられず、早くお腹が一杯になってしまいます(早期飽満感)

また、胃の中の圧力が高まるため、みぞおちが痛んだり、食べ物が詰まった感じがしたり、様々な不快感が出るのです。

 

さらに、胃が膨らまずにギチギチに固いので、胃の中に入った食べ物は十分に噛み砕かれずに、すぐに十二指腸に流れ込みます(胃排出亢進)

胃の中で食べ物の貯留が十分に行われないで、早期に食べ物の胃排出が起こるのです。

 

そして、食べ物と胃酸が急激に十二指腸に流れ込みます。

すると、十二指腸に負担がかかることから、十二指腸は胃に「これ以上たくさんの量は受け付けません」と拒絶をします。

 

十二指腸の急な拡張は、胃排出に対してブレーキ(食べ物が急速に十二指腸に流れ込まないように胃排出を遅らせる調節機構)となり、結果的に胃の排出は遅くなってしまいます。

これを「十二指腸制御」といい、十二指腸が胃の運動機能を悪くすることがわかっています。

そうすると今度は、結果として胃の中の食べ物がずっと残り、停滞します。

少ししか食べていないのにも関わらず、この食べ物が胃の中に停滞し、食後のもたれ感を出すのです。

これが胃もたれや胃の痛みに繋がるというわけです。

 

また、多過ぎる酸は胃の動きを弱めることがわかっています。

胃カメラを行いながら、十二指腸に酸を振りかけると「胃の出口(幽門前庭部)が収縮する回数が減る」という研究結果があります。

胃酸の出過ぎは、胃の働きも弱めるのです。




<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

機能性胃腸症

今回は「機能性胃腸症」というテーマです。

 

 

胃カメラで何も異常がないと言われながらも、胃の重苦しさ、圧迫感、ゲップなどでおびただしい数の人が悩んでいます。

 

胃カメラの検査で異常が見つからないにも関わらず、胃の調子が悪い状態を「機能性胃腸症」と呼びます。

 

「原因不明」と医師に言われ、悩んでいる人にまず申し上げたいのは、「機能性胃腸症」という考え方は世界中にあるということです。

 

「自分の胃が不調である理由がわからない」ということ自体がストレスになるのです。

診断名がつくことで、ほとんどの人は救われたような気持ちになります。

 

そして、この病気はまず「命を取られる病気ではない」ということを知り、まず安心していただきたいと思います。

しかし、QOL(生活の質)は低く、糖尿病や逆流性食道炎や重症の腎臓病などと比較してもQOLが低いことが報告されています。

 

機能性胃腸症で悩んでいる人は、日本での統計は男性11%、女性26%と女性に多い傾向にあります。

特に、胃の症状で苦しむ機能性胃腸症は、睡眠が障害されることが大きな特徴です。

 

しかし、機能性胃腸症の半数以上の患者さんは時間の経過とともに軽快してしまいます。

ほとんどの患者さんは時間が経てば、改善もしくは治癒することを覚えておいてください。


<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

誤診が多い、胃とみぞおちの痛み

今回は「誤診が多い、胃とみぞおちの痛み」というテーマです。

 

 

「みぞおちの痛み」には注意が必要です。

まずは、みぞおちにある内臓の位置関係を説明していきます。

 

みぞおちの皮膚の下には、まず肝臓があります。

その裏(背中側)には、胃と十二指腸があり、その奥に膵臓が位置しています。

また、肝臓に近い胆嚢と胆管の痛みは、みぞおちに放散(響く)します。

 

こうした特徴から、他の医療機関から転院してくる患者さんの中には、次のようなケースが見られることがあります。

 

①カメラで異常はないと言われたが、みぞおちの痛みが強く来院。

腹部エコーで、胃の裏の膵臓に進行性膵臓ガンが見つかった。

 

②処方された胃薬を飲んでいても、症状が改善せず来院。

腹部エコーで確認すると胆石が胆嚢にあり、胆嚢炎を起こしていた。

胆嚢炎の痛みはみぞおちに響くため、患者は「胃が痛い」と誤解し、医師もそれに気づかなかった。

 

③胃潰瘍ではないかと診断されたが、薬を飲んでもみぞおちの痛みが改善せず来院。

腹部エコーを行うと、肝臓に直径8センチの肝臓ガンが見つかった。

胃の前には肝臓が位置しており、肝臓の腫瘍によってみぞおちが痛むことがあるので注意が必要。

 

 

このように、みぞおちの痛みには危険な誤診が多いのです。

「みぞおち=胃」という思い込みを捨てることが肝要です。

なぜなら、みぞおちの痛みは100%胃の痛みとは限らないからです。

 

みぞおちの痛みは、「胃」の痛みとして本人には認識されます。

しかし、胃の周りにはいくつかの臓器が入り組んで重なり合っていることを忘れてはいけません。

胃カメラによる検査で異常がないのに改善しない人、胃薬を服用しても軽快しない人は、胃以外の病気を疑って、腹部エコー検査を希望してほしいのです。

さらに万全を尽くすなら、エコーよりも死角の少ない、CT(コンピューター断層撮影装置)MRI(磁気共鳴画像装置)検査で胃の周辺臓器の精密検査を受けることです。




<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

聴診器で診断できる身体の声

今回は「聴診器で診断できる身体の声」というテーマです。
 
 
聴診器はレントゲンのように被曝の心配もなく、非常に多くの身体の情報が得られます。
また、医療従事者だけでなく、誰にでも簡単に使うことができるところも便利です。
そんな聴診器で「身体の声」を聞いてみましょう。
 
聴診器を当ててチェックしたい部位は、①首②胸の上部(肺)③左胸(心臓)④腹部の4つです。
 
<こんな音が聴こえたら要注意>
①首の両側の血管に聴診器を当てます。
血管が細くなって詰まりかけているときには、「シュー、シュー」という音がします。
そんな音がしないか確認します。
首の血管(内頸動脈)が動脈硬化で詰まり、脳梗塞を起こす人が増えているのです。
 
聴診器によるチェックで狭窄が早期に発見できれば、血管内膜剥離術という手術で脳梗塞を防ぐことができます。
 
②両胸の乳首の少し上に聴診器を当てて、大きく呼吸をして、肺の音を聴いてみます。
例えば、喘息発作では息を吸ったときには「ヒューヒュー」という高い音、息を吐き終わるときには「ブーブー」という独特の低い音が聴こえます。
この時、普段から肺の音を聴いておけば、咳が出たときにただの風邪なのか、喘息発作なのかが大まかにわかるようになります。
 
また、心不全を起こしている人は肺水腫と言って、肺が水浸しの状態になっており、呼吸をした時に水が「ボコボコ」という音がします。
他にも、肺気腫になると肺が膨張するため、肺の音が遠くに感じるなど、聴こえづらくなります。
 
③心臓の音は左の乳首付近に聴診器を当てて聴き、リズムを覚えておきます。
鼓動のリズムが不規則な人の中には、心房細動の人がいます。
聴診器でチェックしたとき、鼓動のリズムが乱れると、心臓内で血液の流れが淀んで、血栓ができやすいのです。
それが脳に飛び、血管を詰まらせてしまうことで、脳梗塞になる危険性があります。
 
④腹部はヘソの辺りに聴診器を当てて、10秒以上聴きます。
普段から腸の音に親しんでいると、腸が詰まったり、捻れたりする腸閉塞のときに聞こえる金属性雑音(遠くでキン、キンと金属の管を叩いたような音)などの異変に気付くことができます。
何より、聴診器で身体の声を聴いていると、自分との対話ができて、心が落ち着くようになるでしょう。



<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

胃の不調には3つの原因がある

今回は「胃の不調には3つの原因がある」というテーマです。

 
 

胃の不調は、生活の質や仕事の能率、幸福感などを大きく落としてしまいます。
そうならないために、「胃力」を高めることで胃を健康にすることが大切です。

 

胃の不調の原因は次の3つです。

①胃酸力

②胃運動力

③抗ストレス力

 

ひとつずつ説明していきましょう。

①胃酸力

胃酸が出過ぎている人は、胃カメラで腫瘍もなく、ガンもないのにも関わらず、胃が痛いと感じるのです。

これを、胃の「知覚過敏」と呼びます。

 

例えば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍もなく、ガンもないのに胃が痛むことはよくある話なのです。

胃酸が出過ぎていると、潰瘍がないのに胃は痛むのです。

 

ですから、逆に胃カメラの結果が全てではない、ということが大切です。

もちろん、ガンがないか腫瘍がないか、胃カメラで調べることは極めて重要です。

しかし、胃カメラで何もないからと言って、何もしなくてもいいということではないのです。

症状が大切です。

痛みを感じる患者さんには、胃酸を抑える努力をしてもらうことで、痛みも楽になり、患者さんも救われるのです。

 

②胃運動力

胃の動きの鈍い人が感じる症状は、胃のもたれ、胃の重い感じ、吐き気などです。

これを胃の「運動不全」と呼びます。

 

胃カメラで異常がなくても、もたれ、何か重苦しい感じなどを感じたら、胃の動きを改善する工夫(脂肪を控え、運動して自律神経を整える)をすると、すっきりした気持ちで生活を送ることができます。

 

③抗ストレス力

胃酸を抑え、胃の動きを高め、それでも改善されないとき、考えなくてはならないのは、知らない間にかかってきているストレスや過労です。

 

ピロリ菌がある人にストレスがかかると、簡単に腫瘍ができてしまいます。

逆にピロリ菌がいなければ、少々のストレスがかかっても腫瘍はできないことがわかっていますので、その点では安心できます。

 

ストレスを感じる前に積極的にストレスを解消し、常に溜め込まないような工夫をしましょう。

ただ、過大なストレスで腫瘍になることも、ままありますので注意しなくてはなりません。




<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

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